はじめに

こちらは私が会社設立の依頼者の方からよく質問されることをまとめた記事です。

随時更新していきます。

 

 

定款について

設立するときに作った定款は後から変更できますか?

できます。

株式会社の場合は、株主総会での特別決議(議決権の過半数以上の株主が出席し、出席株主の議決権の3分の2以上の賛成)で変更できます。

合同会社などの持分会社の場合は、社員全員の同意が必要です(定款に特別の定めがない場合)。

登記事項についても、会社設立日以外は、すべて後から変更できます。

 

本店について

自宅を会社の住所にしてもいいですか?

登記は可能です。

ただ、ご自宅が賃貸物件の場合は、注意が必要です。

自宅の賃貸借契約は、「居住用」とする契約内容のはずなので、会社としての事業拠点を置いている場合は、使用目的違反を理由として、オーナーから退去を求められる可能性があります。

特に次の場合は、要注意です。

・不特定多数の人の出入りがある

・玄関やポストに会社名の表示がある

 

 

人について

取締役や株主に人数の制限はありますか?

ありません。

旧商法時代は、必要な人員の制限がありましたが、現在は、その制限は撤廃されました。

ただ、定款の規定により、役員の人数に制限を設けることはできます。

 

お金について

出資金(資本金)の払い込み用に新しく口座を作った方がいいですか?

必要ありません。

今ある口座をそのまま使ってもいいですし、新しく作ってもらっても構いません。

これまでの入出金の履歴を見られたくない場合は、新しく作ってもらった方がいいかもしれません。

 

出資金は会社名義の口座に払い込むんですか?

違います。

発起人の個人名義の口座に入金してください。

会社名義の口座を作ることができるのは設立の登記が完了してからになります。

会社名義の口座開設には、履歴事項全部証明書(会社謄本)の提出が必須で、設立登記が完了しないと会社謄本の入手ができないからです。

 

出資金分の残高が口座に残っていればいいですか?

駄目です。

「設立日の近い日に出資金を払い込んだ」という行為が大事なので、その行為の証明として、「入金の記録」を残ることが必要です。

ちなみに、「出資金分の金額を引き出して、そのお金をすぐに預け入れた」でも構いません。

 

資本金は何円がいいですか?

正直、一言で答えるには難しい質問です。

私が質問された場合は、最低100万円程度は資本金にすることを勧める場合が多いです。

資本金は、設立直後の運転資金の元手であり、会社の財政的な体力の目安となるものです。

旧商法時代の最低額の制限は撤廃され、現在は資本金1円でも設立できるようになりました。

しかし、資本金の額が少なすぎると、会社名義の口座開設を申し込んだ金融機関に「本気で事業をやっていくつもりがあるのか?」と疑問を持たれ、開設が拒否される恐れがあります。

できるだけそうなることを避けたいと考え、100万円程度は資本金とすることを勧めております。

ただ、口座開設の審査は、個別の様々な事情を総合的に判断した上でなされると聞きます。

それぞれの事業に必要な金額は、一律で決められるものではないため、合理的な金額であると金融機関を納得させることができれば、資本金が100万円未満でも口座開設ができないとは言えませんし、実際に口座開設できた依頼者の方はいらっしゃいます。

なお、会社設立後早々に、建設業(500万円以上)や派遣業(200万円以上)など資産要件がある許認可を取得することが予定されている場合は、必ずその要件以上の金額を資本金としてください。

 

必要書類について

個人の実印を会社の実印にしてもいいですか?

構いません。

法務局に届け出する会社実印(代表者印)には、大きさ以外に制限はありません。

ただ、私のこれまでの経験では、会社用の実印を新たに作成される方が圧倒的に多数派です。

ちなみに、会社実印の大きさの制限は、一辺の長さ(丸印の場合は直径)が1cm以上3cm以内です。

 

印鑑証明書は定款認証用と登記用に2通必要ですか?

1通で大丈夫です。

定款認証後に登記を申請する流れなのですが、定款認証の際に提示した印鑑証明書は、原本還付してもらえるからです。

今まで複数の公証役場を利用してきましたが、還付してもらえなかったことはありませんでした。

 

会社の謄本について

会社の謄本がすぐに必要なんです、設立日(申請日)に取れますか?

当日すぐには取れない場合が多いです。

登記の申請は、受付されたその場では完了しません。審査期間があるためです。

審査が完了して初めて、登記記録(登記簿)が作成されるため、登記が完了するまで会社の謄本は発行されません。

設立の登記の場合は、申請書と添付書類が受付された翌日から3営業日以内に登記が完了するよう取り組みがされているそうです。

 

会社の謄本は、どこの法務局に行けば取れますか?

全国どこの法務局でも取れます。

札幌の法務局で、沖縄の会社の謄本を取ることもできます。

だから、ご自身の一番便の良い法務局に行ってください。

法務局の場所は、こちらを参照してください。

ちなみに、発行の請求は、法務局内の証明書コーナーでしてください。

 

会社の謄本を取るには、何を持っていけばいいです?

特に必要なものはありません。

会社の謄本は、会社の関係者じゃなくても、誰でも取ることできるため、運転免許証などの本人確認書類の提示を求められることもありません。

ただ、印鑑カードがあれば、証明書発行請求機から割りと簡単に請求することできて便利です。

なお、謄本の発行には1通あたり600円分の収入印紙が必要です。

収入印紙は、証明書コーナー内に設置されている印紙売り場で購入することができます。

 

 

最後に

『会社設立について、よくある質問をまとめました』いかがでしたか?

もし、一般の方がこの記事を読んで、ご自身で会社設立の手続きをするのに不安を感じた場合は、私にご相談いただければと存じます。

この記事が何かの参考になったのならば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。

 

執筆者  司法書士・行政書士 木戸瑛治

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